冬はつとめて

人生は勢い。ここはわたしの箱庭。

よい休日を過ごしたという話

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なんだかすごい写真になってしまいましたが。

 

土曜日の話。

特に予定がないけれど、せっかく買った本を読まないといけないので読んだ。

香水の話なので、フレグランスキャンドルを焚いた。

炎のゆらぎが綺麗なので見つめてしまう。

見つめると、目が死ぬんだけれど。

メドューサの目を見ると 石になるっていうけど、炎を見ると 次に見たものが緑色に見えます。

 

キャンドルを焚きながら、

あったかいキャラメルラテを用意して(横着してお湯で溶かしたら美味しくなかった… 次からぜったい牛乳を使うこと to私 from私)、

Bluetoothスピーカーを引っ張り出してきて、ショパンを流してみる。

座るのはIKEAのソファ的な椅子(家具の名称を全く知らないから形容できない)(オットマンと聞くたびにオットセイとタキシードの男の人が思い浮かぶ)。

めちゃくちゃ読むの捗った。

 

ショパンは全然知らないので、リストに変えたら 聞き入ってしまって失敗した。

聞き入らないように、と思って バッハにしたら、弦楽器も入ってる曲ばっかりだった。バッハも知らない。バッハはわたしの中で「構造」ってイメージはあるけど…。

 

 

本は、エルメスの専属調香師をやっていた(やっている?)人が書いたもので、調香の話もあれば、「そもそも嗅覚とは…」と言った話も出てくる。

エルメスの 庭シリーズを手がけた著者なので、ナイルの庭や地中海の庭…などのきっかけ(イメージ?)も書かれている。

いろいろグッとくるところはあったけど、一番グッときたのは 香水専門店の説明のくだり。

人気ランキングを提示して回転良く新製品を買ってもらうんではなく、ゆっくり時間をかけて接客し、購入してもらう。

こうしてゆっくり時間をかけると、経験は個人的になり、記憶に残り、結果として顧客はその香水に対して愛着を持つのである。 (ジャン=クロード・エレナ著『香水 香りの秘密と調香師の技』101頁から引用)

購入体験にお金を払っているんですよねー。

化粧品とか、いまドラッグストアで買える物の品質がめちゃくちゃ高いわけで。それなのに、デパコスが欲しい というときがある。

その商品が欲しくて、取り扱っているところがたまたまデパートにあって…というときももちろんあるけど、わたしがデパコスを買うときは、ほとんどの場合「百貨店で買い物をした」という思い出が欲しいとき。いわゆる「ときめき」を求めて買う。

百貨店に赴き、店員さんにいろいろ見せてもらって、購入する (百貨店だとレジが遠く、購入処理自体も時間がかかるので ドキドキしながら待つ)。そして使う時が楽しみだなあとホクホクしながら袋を提げて帰る。家に着いて 包みを開ける… その一連の流れ全体が、商品の価値でありブランドの価値であり…。

ゆっくり時間をかけて選んだから 気にいるものを選べたのか、それとも「あんだけ悩み抜いたのに失敗だった」と思いたくないから 好きなものだと認識しているのかは よくわからないけど、

この大量生産大量消費社会で、いち消費活動として埋もれず、My Favourite♡にあげられるには やっぱりなんかしら個人的な体験にならないとダメなんだろうなあ〜と思ってて、

そのときに この本のこの文章を読んだら「やっぱり!そうですよね!!」と言いたくなった。

本を読んで、絶対に生きてても話せない人と話した気分になれた。

やっぱり読書っていいもんですねー。

 

サウンド・オブ・ミュージック内の曲『My Favorite Things』の歌詞、"Brown paper packages tied up with strings" を聴くだけでドキドキする。

あの歌詞はお気に入りの羅列だから それぞれのエピソードはわからないけど、絶対 そのものにまつわる思い出があるんだろうと思えるのがよい。

物(ブツ)の力だけで「買ってよかった」と思えるものは少なくて、個人的な体験といかに結びついてるかが左右するんだよなーと思います。

 

冒頭のフレグランスキャンドルも、人生の半分以上の付き合いがある(!)友人が贈ってくれたもので、とっても励まされるお手紙も添えてくれた。

そのおかげで、「数あるフレグランスキャンドルの中のひとつ」ではなく、〇〇ちゃんが贈ってくれた XX記念のフレグランスキャンドル という唯一無二の品になった。

今後 この香りをどこかで嗅げば、その友人のことを思い出すだろうし、お手紙に書いてくれたハートフルなメッセージも思い出すだろう。

 

 

 

こんな有意義な時間を過ごせたから、引っ越し先のこの土地もちょっとだけ見直して、

どこかに行こうと思わなければ、まあ暮らせない土地ではないなと思ったりした。

本屋さんがないけどね、ここ。

 

選挙管理委員会が 投票を呼びかけるアナウンスをいろいろ流していて、またカルチャーショックを受けたり、

社宅なので 他の人の生活音が気になったりといろいろありますが…。

冬だと 実家に帰りづらくなる土地柄なので、本をわんさか調達しておけば耐えられる…かも…と学んだ週末だった。

あと、ノイズキャンセルイヤホン!!!!